今日が明日に変わる間のとても静かな時間。
今日と明日の間に、やさしい夢を見た。
現実では、家事動線の研究も兼ねて一人暮らしをしている私に、
夢の中では家族がいて、温かいテーブルを囲んでいる。
やさしくていつも明るい奥さんと子供たち。
と、のんびり屋の犬が一匹。
夕暮れ時に、フライパンを買いに行くだけ、なんだけど、一緒について行ったりして。
そんな、ふわふわした柔らかい夢を見た一週間は仕事が進む。
どれだけ徹夜が続いて忙しくても、やっぱり設計図を書いている時は、すごく楽しい。
そこに住む家族の笑顔と、楽しい会話を思い浮かべると、つい微笑んでしまう。
時々、外出先近くのカフェで図面を書くことがあるけれど、
一人で思い出し笑いをしないように気をつけないと…と、考えていたら、また笑ったりして…。
フラれた日の、今日と明日の間に、
温かい珈琲にミルクと砂糖をたっぷり入れ、時間をかけてゆっくりと、飲む。
「もっと優しくできたはずなのに…」
そんなたくさんの反省と、少しだけ自分に優しいものをクチにして、頭を切り替え仕事に没頭する。
頭を切り替えるためにも、没頭する。
そして、気持ちをあらたに、人に対する優しさをいつもより心がける。
区別することなく誰に対しても同じ気持ちで。笑顔で。
残業続きの、今日と明日の間に、
集中力が切れたら、車を走らせ近くの海まで波の音を聴きに行く。
遠い昔の人たちも同じ波の音を聴いて穏やかな気持ちを感じていたのかなって思ってみたりして。
今日、がまんすれば明日はきっと楽しい。
そんなことを昔の人たちは知っていたのかも知れない。
今日、がまんすれば、明るい日が待っている。
だから、明日までがんばって行こう。
明日になれば、また次の明るい日に向かって。
そうやって今日と明日を繋いで。
一日、一日をそれぞれの歩幅で。
仕事の合間の、今日と明日の間に、
バルコニーで風に吹かれながら、あくびと共に、おもいっきり背伸びしてみた。
笑顔を忘れず前向きに頑張っていれば、またいいことありそうだ。
きょうと明日のあいだに。
今、の日と、明るい、日のあいだで。
赤嶺しげたか 2009・5・12 沖縄タイムス 「唐獅子」掲載
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